お客様と同じ方向を向くための手段としての改善型開発

改善型開発 〜 システムを作るのではなく育てるという発想

上記を読んで感じたこと。

  • 意識面での現状から必要な変化が大きい。大変そう。
  • でもその変化は*名目上は*いまSIerが謳っている建前と同じ。
  • それが建前だけでなく、お金をもらうための本音に近付いていくような気がします。そりゃあいい。
  • で、じゃあそのハッピーな状況になるためには個々人に何が求められるか。どうすればその変化を私が元気で働けているくらいの近い未来に起こせるか。

ポイントは、システムベンダ側とお客様の方向性が近付いていくこと。上記エントリ中にもあります、いわゆるWin-Winですな。

お客様と同じ方向を目指すことができる

当然のことながらお客様は『システムを作る』のが目的では無く、『システムを使う』さらに言えば『システムを使って本業の利益をあげる』のが目的なわけです。それなのに現在のSIerのミッションは、あくまでもシステムを構築するのが主となってしまっています。
そこでこのエントリにあるように『システムを育て、お客様のビジネスの変化に対応していくこと』というふうにSIerのミッションを再定義することが重要になります。つまり、ビジネスをよくしていきたいお客様のニーズと、それに対応していくというシステムベンダ側の目標を一致させることができるようになる、と。
そう考えるとワクワクしてきます。自分がもっとも人様の役に立てる技能を用いて、実際に人様の役に立てることを考えていくのが所属企業としてのミッションともなるわけです。名目だけでなく。素晴らしい。

『保守』が面白くなるかも

いまのSIerのビジネスでも保守は比較的利幅の大きいお仕事だと思っています。しかも、保守や運用はお客様の実ビジネスに直結してるフェーズです。ということから、本来は保守工程こそがSIの花形となってもいいはず、、、なんですが。実際はあまり人気があるようには思えません。私自身も*いまの*やりかたでの保守に面白みを感じることができませんし。
なんでそんなことになっちゃってるのかというと、現在の保守って『新しいことができない、自分のスキルを伸ばすのが難しい』『ノートラブルでできて当然、トラブルが出れば怒られる*1』『なんとなく新規プロジェクトより評価されない気がする』という雰囲気があるように感じてます。あくまで感覚的なものですけど。
そんななかで、変化することが前提の保守となると、より新しい、モダンな技術にも取り組む機会も増えてくるでしょう*2。システムを育てることが、お金がもらえる有効な手段として確立していけば、社内の優秀な人材が変化対応が借りとなることも十分に考えられます。そういうふうに、ビジネスのやりかたが変化していけばそういった保守にまつわるベンダ側現場の不満も解消されていくかと。いってほしい。いくはず。まぁ覚悟はしておけ。
で、そういった変化は、以前に書いたメンバーのモチベーションを高められる環境を作るためにも有効じゃないでしょうか。自分の仕事がお客様価値にシンプルにつながる、というのはすごく効果的かと。

その時代を呼び込み、対応していくために

システムで実現するサービスを、シンプルに、絞り込んで、すばやく提供

このやりかたで重要なところは、ファーストリリースでもお客様のビジネス価値をうむようなものであること。そうでなければいまのSIでプロトを作ってるのと変わりません。
最低限のビジネス価値を産むための作り込みを、ベンダ側でリスクをとって投資するのであれば、そのリスクを極小化するためにもなるべくコストをかけず、かつそれなりに使える形でお客様に提供しなければなりません。そのためには、ファーストリリースまでの開発をどれだけ楽になるか、組織としてのノウハウを活かすか。個人に属するノウハウを活かすか。といったことが重要となるわけです。
ということでまずは工数をかけずに使えるものを作り上げる技術力を身に着けねば。もちろん普段からEoDを実現するためのフレームワークやテンプレートを整備しておくという手段もありで。

変化する・させるための技術力

いまの変わらないことを前提としたシステムですらめちゃくちゃ変わるんですから、変わることを前提にシステムを作ったらどれだけ変わるのか。考えるだけで恐ろしいです。が、お客様ビジネスが変わったら、システム側も変わる以外には価値を提供できなくなるわけで。そうであれば変化を受け入れ、御し、うまくつき合っていくしかありません
そのための手段もやはり、技術力ということで。上記ファーストリリースへの作り込みにしろ、そこに適用するフレームワークにしろ、変化への対応力をインプリメントするための技術力はとても重視されるようになっていくでしょうね。これまでは建前であり評価されずらかった『技術力』というファクターが本音化しそうな、してほしいポイントです。

お客様ビジネスの変化を読む

ビジネス変化に対していっしょに向き合っていく、名実共にビジネスパートナとしてやらせてもらうのであれば、お客様ビジネスの潮流も読んでいる必要があります。
もちろん、我々が期待されているポイントである『コンピュータに関する技術力』という軸足はぶらしちゃいけません。が、お客様ビジネスはどう変わっていくのか、システム的にサポートできることはなんなのかということも考えていかなきゃいけませんね。少なくとも後者はお客様より先に思いを馳せていないと恥ずかしいです。
あとはそれをお客様に提案するためのコミュニケーション力*3ですかね。アンテナに引っかかってきた潮流の変化を、お客様と共有できるための能力は必要になるはず。

感想

ということで総論賛成、各論も賛成、現実へのブレークダウンは今後もっと詰めていきたいですね、という感じです。>元エントリ
この業界に籍を置きつづけたい者として、考えさせられ、また元気づけられました。で、もっと伸びなきゃいけないよ、まだまだ私ゃ力不足だよ、という気分にさせられたエントリでした。

*1:もちろんお客様ビジネスを支えるという、建前論のレベルでもトラブルは極小化すべきです。ただ、極小化では無くまったくの0を目指すことになっちゃって、起こったらどうするか、という建設的な話にならないとも結構ある気がします。

*2:もちろん浮き足だって新しいものに飛びつくだけじゃダメですけど。あくまで考えるべきはお客様価値です。が、枯れた技術の採用だろうが、あたら敷くお客様価値を産むために適用するのであればモチベーションは保たれるかと。

*3:別に気の利いたセリフや飲み会で盛り上がりまくるという意味での*こみゅにけーしょん*ではなく。