SQLアンチパターン -- 苦い経験を思い出させる良書

献本いただきました。ありがとうございます。

本書は、データベース設計や、そのDBをアプリケーションから利用する際によく見られるアンチパターンを、簡潔かついきいきとまとめた書籍です。もちろん、単なる「べからず集」ではありません。そのアンチパターンの背景である現実の問題の説明と、アンチパターンを回避した解法もしっかり紹介されています。さらに、それでもアンチパターンを採用する場合のメリットデメリットもしっかり提示されています。

特に気に入ったところとして、2013年の書籍(原著は2010年)にふさわしく、ORMの存在をしっかり意識した内容になっている点が印象的でした。たとえば、全テーブルにサロゲートキーを貼る(IDリクワイアド: とりあえずID)のアンチパターンも、避けるべきではあるが、ORMの規約であればしたがってよいと紹介するなど、
全体として現場寄り、実践的なノウハウの紹介になっています。

いっぱんに、データベースのスキーマやデータアクセス部分は、アプリケーションの中でも『長生き』する箇所です。それだけに、ある程度以上の経験があるプログラマであれば、紹介されているアンチパターンに悩んだ経験があるはずです。ベテランにはそういった経験のまとめとして、若い人たちは予防の知識として、ぜひおすすめしたい一冊です。

なお、パターン名が英語そのままカタカナ表記であるのは、目次を見ただけではビックリするポイントですね。ただ、チーム内で相談するときなどに目立つ名前が付いているのはむしろありがたいですし、何よりなんかカッコよくておもしろかったです!

SQLアンチパターン

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